真世紀エヴァンゲリオン Menthol Lesson8 First Strike -16




Truth Genesis
EVANGELION
M E N T H O L 
Lesson:8

First Strike




ブーーー、ブーーー、ブーーーッ!!
「状況報告はどうしたっ!?」
数年振りとなる戦闘警報にブリッチが緊張感に包まれ、副長が報告を求めて各艦、各部署へ檄を飛ばす。
『戦艦1沈黙っ!!目標を確認する事が出来ませんっ!!!』
「くそっ!!何が起こっているんだっ!!!」
だが、返ってくるアナウンス報告は意味を成さず、艦長は双眼鏡で戦闘宙域を覗き追いながら、正体不明の敵へ忌々し気に吐き捨てた。
「ちわぁ~~♪ネルフですが、見えない敵の情報と的確な対処はいかがっスかぁぁ~~~♪♪」
「戦闘中だっ!!見学者の立ち入りは許可出来ないっ!!!」
慌ただしいブリッチへ現れたミサトは、意地悪そうな含み笑いで協力の手を差し伸べるが、艦長は双眼鏡を覗いたままにべもなく協力を拒む。
「これは私見ですがぁ~~♪どう見ても使徒の攻撃ですねぇぇ~~~♪だとしたら・・・。」
「全艦、任意に迎撃っ!!」
「・・・無駄な事を」
尚も協力の手を差し伸ばそうとするも、艦長はミサトの言葉を大声で遮り、ミサトは表情を素に戻してわざと聞こえる様な声で警告を呟いた。


シュポン、シュポン、シュポン、シュポン、シュポンッ!!
居並ぶ艦隊から一斉に発射され、使徒へ向かって突き進む魚雷群。
ザパン、ザパン、ザパン、ザパン、ザパァァーーーンッ!!
しかし、命中こそはするどもその効果は全く見られず、虚しく海面に幾本もの激しい水柱が立ち上る。
ドゴォォーーーンッ!!
それどころか、反対に使徒はその巨体を武器として海面を魚雷の様に突き進み、勢いそのまま進路上にいた駆逐艦へ体当たりを喰らわせた。
ザパァァーーーンッ!!チュドドドドドォォォォォーーーーーーンッ!!!
巨大な水柱を立ち上らせて艦中央を分断された駆逐艦は、刹那後に激しい爆発炎上を起こしながら海の底へゆっくりと轟沈してゆく。
「この程度じゃ・・・。ATフィールドは破れないか・・・・・・。」
未だ艦外のタラップで涙をルルルーと流していた加持は、初めて目の当たりにする使徒との戦いに表情を神妙な物へと変える。
「しかし・・・。何故、使徒がここに・・・って、考える必要もなくアレのせいだよな。・・・となれば、お仕事、お仕事」
それも束の間、加持は緊張感のない緩みきった顔を左右に振って首の骨をポキポキと鳴らし、遠足にでも行く様な足取りで艦内へ戻って行った。


「しかし・・・。何故、使徒がここに?・・・・・・まさか、弐号機っ!?」
奇しくも時同じくして、ブリッチに居るミサトも同じ疑問を抱いていたが、推察して導き出したその答えは加持と大きく違っていた。


シュル・・・。シュルシュルル・・・。
人気のない階段の踊り場に響くかすかな布ずれの音。
プチッ・・・。シュル・・・。
アスカはワンピースを脱いで下着姿になると、続いてブラジャーとショーツも脱ぎ、同年代が見たら羨むプロポーションを躊躇わず外気に晒した。
ジィィ~~~・・・。
その脱いだ衣服を脇に置いてある赤いスポーツバックへ詰め込んでチャックを閉め、真空パックに包まれた真新しい赤いプラグスーツを手に取る。
ビリッ!!ビリビリビリッ!!!
「・・・アスカ、行くわよ」
すぐさまパックを手早く破り開け、取り出したプラグスーツを着るべく、アスカがまずは足を通そうと上半身をやや屈めて右足を上げたその時。
「さすが、海外・・・。進んでいるね」
「ふにゃっ!?」
突然、アスカの両脇から2つの手が伸びたかと思ったら、その手は豊かに育ったアスカの両胸を掴み、思わずアスカは奇声を発してビックリ仰天。
「キャっ!?」
バンッ!!
その拍子に片足立ちの体勢だっただけにバランスを崩し、アスカは前のめりに倒れながら、慌てて両手を前方の壁へ叩きつけて体勢を支えた。
「フフ・・・。君は本当にせっかちさんだね。もっとゆっくり楽しめば良いじゃないか」
何故だかは全くの謎だが、シンジはお尻を己へ突き出す形となったその体勢にクスクスと笑いながら、掴んでいるアスカの胸を優しく揉みし抱く。
「キャァァ~~~っ!!な、何すんのよぉぉぉ~~~~っ!!!」
「おっと・・・。危ない、危ない」
即座にアスカは体を捻ってシンジを両手で突き飛ばそうとするが、シンジはこれを予期していたのかの様に軽く後方へ避け跳んでクスリと笑った。
「ちょ、ちょっとっ!?ち、近寄らないでよっ!!!」
「何を言うんだい・・・。君が僕を誘ったんだろ?」
その邪悪さ漂いまくる笑みに乙女の危機を悟り、アスカは慌てて胸を抱き隠して腰を引きながら後ずさり逃げる。
「な、何、言ってんのよっ!!あ、あたしがいつ誘ったってぇ~~のっ!!!さ、誘ってなんかいないわよっ!!!!」
「人気のない場所へ僕を連れ込み・・・。服を脱いで裸になる君・・・。ほら、これはもう誘っているとしか思えない」
だが、あっと言う間に階段の踊り場の角壁へ追い詰められ、目の前をクスクスと笑い続けるシンジに立ち塞がれた。
もっとも、アスカの戦闘力を持ってすれば、シンジの横を通り抜けて逃げる事も可能なのだが、アスカもまだまだ14歳の華咲く恥じらう乙女。
しかも、ファーストコンタクト以来、アスカはシンジに対する強い苦手意識を持っている上、元々プライドが高い気性を持っていた。
それ故、その相反する感情と全裸を見せている羞恥心に頭が大パニックを起こし、体が思うように全く動かせないのである。
「あ、あんた、馬鹿っ!!プ、プラグスーツに着替える為じゃない・・・って、そ、そうよっ!!!あ、あんたも早く着替えなさいよっ!!!!」
「ああ・・・。そう言えば、そうだったね。ごめん、ごめん・・・。君ばっかりが裸と言うのも可哀想だよね」
それでも、アスカが活路を見出すべく唯一残った手段の口で抵抗を行うと、シンジはアスカの言葉に一理あると頷いてシャツを脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっとぉぉ~~~っ!!な、な、な、な、何、いきなり脱いでんのよっ!!!」
「やれやれ・・・。脱げと言ったのは君の方じゃないか」
シンジの肌から視線を逸らそうとするが、狭い視界内に逃げ場は何処にもなく、たまらずアスカが真っ赤に染まった顔を両手で覆った次の瞬間。
「だ、誰がここで脱げって言ったっ!!あ、あっちで脱ぎ・・・って、な、なにすんのよっ!!?」
「フフ・・・。決まっているだろ?君だって解っている癖に・・・・・・。」
シンジがニヤリとほくそ笑み、顔を覆った事によって制し易くなったアスカの両手を開かせて壁に押し付け、アスカの股間へ右足を割り入れた。
「キャァァァァァ~~~~~~っ!!誰か、助けてぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~っ!!!
 ねえっ!!誰でも良いからぁぁ~~~っ!!!お願いっ!!!!誰か、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~っ!!!!!」
完全に拘束されて身動きが取れなくなり、アスカはシンジの下で体を藻掻かせながら形振り構わず助けを大声で叫び呼ぶ。
「無駄さ・・・。今は幸いにして戦闘中だからね。幾ら叫んでも、君の声は誰にも届きはしないよ・・・。フフフフフ・・・・・・。」
「嫌ぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!助けてっ!!!・・・助けてっ!!!!ママぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~っ!!!!!」
しかし、唇へ唇を近づけてくるシンジに絶望を告げられ、アスカは顔を背けてキスを避けると、目をギュッと瞑って心からの救いを求め叫んだ。


「何故、沈まんっ!!」
使徒に対して攻撃を何度も仕掛けるが、相変わらず効果は全く見られず、艦長が忌々しさとわずかな畏怖を混ぜた怒鳴り声をブリッチに響かす。
「やっぱ・・・。エヴァやないと勝てへんな」
「「あ゛あ゛っ!?」」
「うっ!?」
思わず心情を吐露するトウジだったが、即座に艦長と副長から鋭くギロリと睨まれ、慌ててミサトの後ろへ隠れて身を縮めた。
「凄いっ!!凄いっ!!!凄ぁぁ~~~いっ!!!!正に太平洋艦隊が面目丸つぶれの形無しっ!!!!!」
「ぐぐぐぐぐ・・・。何をしているっ!!もっと良く狙えっ!!!6番から12番、一斉射だっ!!!!」
しかし、ビデオ撮影に夢中なケンスケはそれに気付かず、2人の不機嫌を更に煽り、艦長は奥歯をギリギリと鳴らしつつ新たな攻撃命令を発する。
余談だが、余計な騒ぎの再発を防ぐ為、トウジとケンスケの足首には荒縄が縛られ、2人は1メートルほどの間隔で繋がられていた。
そして、ケンスケの足首から伸びた荒縄はミサトの右手首へと繋がり、ミサトが2人の行動決定権を持つ様になっている。
チュドドドドドォォォォォーーーーーーンッ!!
だが、使徒は迫り来るミサイル群よりも早く海面を突き進み、新たに戦艦を真っ二つに叩き割って轟沈させてゆく。
「変ね・・・。まるで何かを探しているみたい・・・・・・。」
ミサトはその様を眺めながら妙な違和感を感じ、ふと使徒が弐号機を狙っている訳ではない事に気付くと眉間に皺を寄せた。


「なぁ~~んてね。冗談だよ。冗談」
「・・・・・・へっ!?」
シンジがアスカの耳元でクスクスと笑いながら囁くと、数瞬の間を空けて、アスカが涙をうっすらと溜めた瞳を呆けた様にシンジへ向かせた。
「まっ・・・。でも、これで緊張も解けて体が柔らかくなっただろ?」
「・・・・・・はっ!?」
するとシンジはアスカの拘束を解いてニッコリと微笑み、アスカは豹変した邪気のないその微笑みに今度は本格的に茫然と目が点。
「もっとも・・・。ここは反対に堅くなっちゃったみたいだけどね」
「っ!?」
だが、シンジに両人差し指で胸の中心にあるピンク色した先っちょを突っつかれて、アスカが慌てて我に帰り、改めて己の姿を認識した次の瞬間。
「キャァァ~~~っ!!ど、何処、触ってんのよぉぉぉ~~~~っ!!!」
「結構、結構・・・。それだけの元気があれば、1人でも十分に戦えるよ」
早速、アスカは自由になった両手でシンジを突き飛ばそうとするが、シンジは華麗なバックステップでアスカの攻撃を難なく避けてしまう。
「えっ!?・・・1人でもって、あんたはどうすんのよ?」
アスカは追撃しようとするも、今は肌を隠すのが先だとその場にしゃがみ丸まりつつシンジの言葉に顔を上げ、シンジを鋭く睨み付け尋ねた。
「僕はミサトさんの所へ戻るよ。・・・第一、このプラグスーツは君のだろ?なら、女の子用じゃないか」
「ミサトの所へ戻るって・・・。」
応えてシンジは階段へ置いてあったパックに包まれたプラグスーツを差し出すが、アスカは刹那だけ不安を表情に表して受け取ろうとはしない。
「もしかして・・・。1人で戦うのは怖いとか?」
「こ、怖くなんかないわよっ!!あ、あたしはただあんたにっ!!!」
その刹那を見逃さず、シンジがクスリと笑ってアスカの心情を代弁すると、アスカは全裸を見られるのもいとわず怒鳴って勢い良く立ち上がった。
「君の華麗な操縦テクニックは外から見せて貰うよ。・・・で、怖くないなら、当然1人で戦えるよね?」
「あ、当たり前じゃないっ!!あ、あたしを誰だと思っているのよっ!!!」
しかも、シンジが気勢を制する様にアスカの次の言葉を先読みして尋ねると、アスカは腰に両手を当てて胸を張り、堂々とCカップの胸を誇示。
実を言うと、シンジの言う通り、アスカは初めて目の当たりにした使徒と命を賭けた実戦と言う戦いが怖くて怖くて仕方がなかった。
無論、今日という日の為に幼少の頃より訓練に訓練を重ねてきてはいたが、所詮それは命のやり取りがないシミュレーション訓練に過ぎない。
それ故、プラグスーツを持ってきていないと言うシンジに、予備のプラグスーツを無理矢理に渡して、戦いに同伴して貰おうと考えたのである。
「なら、話は決まりだ。僕は見学、君は戦う・・・。そう言う事だよね?」
「う゛っ・・・。わ、解ったわよっ!!」
ならばとシンジは改めてプラグスーツを差し出し、アスカは未だ恐怖心は存在するも吐いた唾は飲めず、プラグスーツを引ったり受け取った。
「それじゃあ、大丈夫だとは思うけど・・・。もしも、万が一の事態が起きて、どうしようもなくなった時のアドバイスを聞きたい?」
「えっ!?・・・ええ、そうね。聞かせて」
満足そうにウンウンと頷きつつ、シンジは不安気にプラグスーツを俯き見つめているアスカに気付き、アスカがシンジの言葉に真剣な顔を上げる。
「解った・・・。なら、まずはこうするんだ」
「・・・こう?」
シンジも表情を真剣な物にして両掌でメガホンを作り、アスカは変なアドバイスだと思いながらも、素直に実戦の先輩に従って動作を真似した。
「そう、そんな感じ・・・。そして、ここからが重要だ・・・・・・。
 もし危ないと感じたら、さっきみたいに躊躇わず心の底から大声で・・・。助けてっ!!ママぁぁ~~~っ!!!・・・と叫ぶのさ」
一拍の間の後、シンジは言葉を溜めると、先ほどアスカがあげた悲鳴を真似て叫び、メガホンを解いた両手でお腹を抱えてクスクスと笑い出す。
「なっ!?なっ!!?なっ!!!?なっ!!!!?なっ!!!!!?」
アスカはあまりの屈辱に目を大きく見開いて何かを言おうとするが、しゃっくりをする様に肩を断続的に震わせて言葉が言葉にならない。
「何、くしゃみ?なら、我慢しない方が良いよ?」
「う、うるさぁぁ~~~いっ!!う、うるさいっ!!!う、うるさいっ!!!!う、うるさぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~いっ!!」
バシッ!!バシッ!!!バシッ!!!!バシッ!!!!!バシッ!!!!!!
しかし、シンジがアスカの肩へポムッと手を置いた途端、アスカは言葉を取り戻し、持っていたプラグスーツのパックでシンジの頭を叩き始める。
「痛っ!!痛っ!!!痛っ!!!!な、何するんだっ!!!!!ひ、酷いじゃないかっ!!!!!!」
「う、うるさぁぁ~~~いっ!!あ、あっちへ行けぇぇぇ~~~~っ!!!」
シンジは両手で頭を庇いながら逃げて行き、アスカはクスクス笑いを止めないシンジに怒り頂点となってプラグスーツのパックを投げつけた。
ブォンっ!!
「おわっ!?」
斜め水平に投げられたプラグスーツのパックはフリスビーの様に勢い良く飛び、さすがのシンジもこれは堪らないと階段を駈け上って完全撤退。
ガンッ!!ボトッ・・・。
「な、何なのよっ!!ま、全くっ!!!」
プラグスーツのパックはシンジがいた先の壁にぶつかって落ち、アスカはようやくシンジが視界内から消えた事に安堵して激しく毒ずくも束の間。
「ああ、そうだ。君って胸は立派だけど・・・。下はまだまだお子様だね」
「あ、あっちへ行けって言ったでしょっ!!さ、さっさとミサトの所でも、何でも好きな所へ行きなさいよっ!!!」
シンジが逆さまにした顔だけを階段下から覗かせ、アスカは顔を真っ赤に染めながら手近にあったスポーツバックをシンジ目がけて投擲。
ブォンっ!!
ドンッ!!ボトッ・・・。
残念ながらシンジに当たりこそしなかったが、スポーツバックは怒りのパワーで1段上の階段踊り場まで飛び、壁にぶつかって床に落ちる。
「はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。」
ジィィ~~~・・・。
最早、毒づく気力もなく、アスカが投擲体勢のまま荒い息をついていると、1段上の階段踊り場からチャックが開く様な音が聞こえてきた。
「へぇぇ~~~・・・。シルクのブラジャーなんか着けているなんて贅沢物だね」
「な、何、やってんのよっ!!あ、あんたっ!!!」
すぐさまシンジが何をしているのかを理解して全身を真っ赤っかに染め、慌ててアスカは階段を2段飛ばしで駈け昇って行く。
「何って・・・。それより、丸見えなんだから、早く着替えたら?」
「キャァァァァァ~~~~~~っ!!」
「それとも・・・。実はさっきの続きがしたかったとか?それならそうと早く言ってくれれば良いのに・・・。水くさいなぁぁ~~~」
「ち、違うわよ・・・って、な、何、脱いでんのよぉぉ~~~っ!!」
しばらく、シンジとアスカの2人はお間抜けなやり取りを続け、その間に味方の護衛艦は1艦、また1艦と沈んでいた。


「こんなところで使徒襲来とはちょっと話が違いませんか?」
窓際に立って閉めきられたブラインドを一部を左手の人差し指で下げ、戦場の様子を眺めながら右手に持つ電話の相手と話す加持。
ここはオーバー・ザ・レインボー内にある加持へ与えられた士官用の個室部屋。
だが、約1ヶ月半を過ごしたにも関わらず、部屋はきちんと綺麗に整頓され、まるで下船準備を済ませたか様に私物が全く置かれていない。
もっとも、私物がある事はあるのだが、その全ては加持の脇に置いてあるトランクの中にまとめられていた。
そして、そのトランクの隣には、二回りほど大きい核爆発にも耐えられる対核仕様の堅牢な金属製トランクが置かれている。
『その為の弐号機だ。予備のパイロットも追加してある・・・。最悪の場合、君だけでも脱出したまえ』
「・・・解っています」
電話の相手であるゲンドウの言葉を真剣な表情で頷き、加持はブラインドから引き戻した左手の人差し指で電話を切った。


「ええいっ!!あるだけの弾、全て撃ち込めっ!!!総力戦だっ!!!!」
海には重油が漂い、空には黒煙が広がり、戦場が黒い絶望色に染まりきるが、相変わらず艦長は諦める事を知らず無駄な努力に勤しんでいた。
『オデローより入電っ!!エヴァ弐号機、起動中っ!!!』
「何だとっ!?」
「ナイスっ!!アスカっ!!!」
そこへ寝耳に水な報告が入って、艦長が驚愕に目を見開いて固まり、ミサトはその隙を突いて艦長から通信マイクを奪ってアスカへ檄を飛ばす。
「いかんっ!!起動中止だっ!!!元に戻せっ!!!!」
「構わないわっ!!アスカ、発進してっ!!!」
「何を言うっ!!エヴァ及び、パイロットは我々の管轄下だっ!!!勝手は許さんっ!!!!」
「それこそ、なに言ってるのよっ!!こんな時に段取りなんて関係ないでしょっ!!!」
すぐさま艦長は通信マイクを奪い返すが、ミサトも負けじと通信マイクを奪い返し、まるでカラオケマイクの様に醜い奪い合いを興じる2人。
「しかし・・・。本気ですか?弐号機は陸戦用のB装備のままですよ」
「「えっ!?」」
だが、弐号機の様子を双眼鏡で覗く副長から指摘が入ると、ミサトと艦長はピタリと奪い合いを止めて弐号機の方へ視線を向けた。
「でもよぉ~~・・・。どうやって戦うつもりなんだ?」
「海に落ちたらヤバいんとちゃうか?」
「う゛・・・。そ、そういや、そうだった」
その上、ケンスケとトウジが顔を見合わせてもっともな意見を出し合い、たちまちミサトの意気込みが萎えてゆく。
『あんた、馬鹿っ!!そんなの落ちなければ良いのよっ!!!』
「「「「「おおっ!?」」」」」
そんなブリッチの心配を余所に、弐号機は勢い良く身を起こすと、勢いそのまま大空へ天高く華麗に舞い、思わずブリッチの面々が歓声をあげた。


ドッシィィーーーンッ!!
着地しようと思っていた駆逐艦を跳び越え、その先にあった垂直となって海底へ沈みゆく戦艦の船先へ降り立つ弐号機。
その姿は輸送艦収納時に弐号機をカバーしていた帆布をマントの様に身に纏い、威風堂々として凛々しい。
「いつもより、動きが軽いっ!!イケるわっ!!!」
アスカは今までにない鋭敏な動きを見せる弐号機に驚きながらも、高まってゆく戦意を感じ、出撃時にあった恐怖と不安を完全に消し去る。
「ミサトっ!!非常用の外部電源を甲板に用意してっ!!!」
『解ったわっ!!』
周囲をグルリと見渡すと、アスカはミサトへ指示を出し、ミサトはアスカのやろうとしている事を即座に理解して返事を返したその時。
ザバッ!!ザバババババババババッ!!!
「来たわねっ!!」
弐号機に気付いた使徒が進路を変え、弐号機へ猛スピードで迫ってきた。
ドゴォォォォォーーーーーーンッ!!
しかし、使徒が弐号機の立つ戦艦へ体当たりを喰らわせる寸前、弐号機は近くにある巡洋艦を目指して天へと舞う。
バサッ!!
ドッシィィーーーンッ!!
その途中、羽織っていた帆布を脱ぎ捨て、弐号機は見事に目標の巡洋艦甲板へ着地。
「見てなさいよっ!!サードっ!!!」
そして、間一髪を入れずに再び天へと舞い、アスカと弐号機は居並ぶ護衛艦隊達を飛び石変わりにして、ミサト達のいる空母を目指して行った。


『予備電源が出ましたっ!!』
『リアクターと直結完了っ!!』
『飛行甲板、待避ぃぃぃぃぃ~~~~~~っ!!』
『エヴァ、着艦準備良しっ!!』
オーバ・ザ・レインボーの甲板はこれからやって来る弐号機の受け入れ準備にてんやわんやの大騒ぎ。
「総員、耐ショック姿勢っ!!」
「デタラメだっ!!」
マイクを通して副長の叫び声が艦内の隅々まで響き、艦長が踏ん張って身を艦長席へ押さえ付け、帽子が落ちない様に右手で頭を押さえ込む。
「ほらっ!!あなた達も何かに掴まってっ!!!」
「「はいっ!!」」
ミサトが手近な手摺りに掴まり、驚き戸惑っているトウジとケンスケへ喝を入れると、慌てて2人がそれぞれミサトの左右へ抱きついてくる。
『エヴァ弐号機、着艦しまぁ~~~す』
「ぐっ・・・。まあ、良いわっ!!」
すぐさま振り解こうとするが、スピーカーから聞こえてきたアスカの声にそんな暇はないと諦め、ミサトは踏ん張って衝撃に耐える準備をした。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・。
「おわっ!?」
突如、激しい揺れが艦内を襲い、エレベーター待ちをしていた加持は、慌てて右手に持っていたトランクを捨て、壁に手を付かせて揺れに耐える。
ちなみに、加持は左手にも金属製トランクを持っているのだが、こちらは左手首とトランクの取っ手が手錠で繋がっている為に放せない。
パチッ・・・。パチパチパチッ・・・。
「これは・・・。始まったか?」
揺れに少し遅れて、通路の蛍光灯が一斉に消えてゆき、加持は天井を見上げ、弐号機が起動して遂に戦闘が本格化した事を悟った。
「・・・となれば、歩いて行くしかないか。あそこ、遠いんだよな・・・・・・。」
同時にエレベーターも止まったであろうと悟り、加持が床へ落としたトランクを拾い、別ルートで目的地を目指そうと後ろへ振り返ったその時。
チィィ~~~ン♪ウィィーーーン・・・。
「おっ!?」
エレベーターが到着のチャイムを鳴らして扉を開かせ、加持は振り向き戻ってエレベーターへ乗り込もうとする。
「どうして、君がここに・・・。」
だが、加持はエレベーターに乗っていた意外な人物に驚いて立ち止まり、薄暗いエレベーター内に立つ黒い影が右手を加持へ伸ばしてきた。
「んっ!?・・・何だ?」
文字通り目の前に差し出された黒い影の軽く握られた右手を怪訝に思い、加持がその右手から黒い影へ視線を戻した次の瞬間。
パチンッ!!
ドサッ・・・。
黒い影の左目が紅い輝きを放つと共に、差し出された右手で指パッチンが鳴り、加持が脱力した様に右手のトランクを床へ落とした。
「あなたは僕に会っていない・・・。」
「・・・俺は君に会っていない」
「あなたは先ほどの揺れで転び、頭を壁にぶつけて気絶した・・・。」
「・・・俺はさっきの揺れで転び、頭を壁にぶつけて気絶した」
「その時、あなたは前後5分の事を全て忘れてしまった・・・。」
「・・・その時、俺は前後5分の事を全て忘れた」
すると黒い影は差し出した右手の人差し指を加持の眉間へ押し付け、加持は何やら虚ろな目で黒い影が言った言葉をそのまま寝言の様に唱える。
「良く出来ました・・・。では、お休みなさい」
パチンッ!!
そして、黒い影が加持の眉間から人差し指を戻し、再び指パッチンを鳴らすと、加持はその場に崩れ落ちて気絶した。


『外部電源、切り替え終了っ!!ミサト、敵の位置はっ!!?』
弐号機が体勢を整え、背中へアンビリカルケーブルを接続する頃には、オーバー・ザ・レインボーの揺れは徐々に収まり始めていた。
「おらぁぁ~~~っ!!いつまで抱きついているっ!!!」
ゴスッ!!ゴスッ!!!ゴスッ!!!!ゴスッ!!!!!
「「ぶべっ!!ぶべっ!!!ぶべっ!!!!ぶべらぁぁ~~~っ!!!!!」」
ミサトは腰を左右に振って、揺れが収まっても鼻息荒く抱きついている2人の側頭部へ肘打ちを何度も放ち、トウジとケンスケを床へ轟沈させる。
「アスカっ!!B型装備じゃ、水中戦闘は無理よっ!!!」
「どうするつもりだっ!?」
「使徒を倒すには近接戦闘がベストです」
慌ててマイクを手に取ったミサトの指示に、艦長はミサトの心が読めず不思議そうに尋ねると、ミサトは愉快そうにニヤリと笑って応えた。


「では、失礼・・・。」
黒い影が床に倒れた加持の左手と手錠で繋がる金属製トランクへ視線を走らせる。
ピッ!!カチャ・・・。プシューー・・・・・・。
ただそれだけで12桁の暗証番号が施された電子ロックが外れ、圧縮空気の抜ける音を立てながらトランクの蓋がゆっくりと開いてゆく。
「さあ、おいで・・・。僕が君に心をあげよう。今一度、僕とこの時を1つに・・・・・・。」
その中にある硬化ベークライトで固められた人間の胎児の様な標本を感慨深げに見つめ、黒い影が立ったまま胎児の垂直上で右掌を大きく広げる。
「さあ、来いっ!!」
すると硬化ベークライトがまるでゼリーの様に柔らかくなり、胎児が表面へ浮き出たかと思ったら、黒い影の右掌へ勢い良く張り付いた。
ブクブクブクブクブクッ!!
「くっ・・・。さ、さすがだね。い、いつもながら、一筋縄ではいかないか・・・・・・。」
その途端、右掌から植物の葉脈の様な模様が一気に全身へ広がり始め、黒い影が心地良さそうに苦悶の表情を浮かべる。
「だがっ!!・・・所詮は虚ろな肉体。僕に勝とうなんて無駄の一言」
しかし、黒い影が目をクワッと見開き、髪の色を一瞬で銀髪へ変えると共に、その葉脈が一瞬で全身から右掌へ巻き戻って消え去ってゆく。
ブクブクブクブクブクッ!!
「そう、それで良いんだよ・・・。フフフフフ・・・・・・・。」
その上、胎児は反対に黒い影の右掌の中へ徐々に吸収されてゆき、黒い影は右掌のその様を眺めて怪しく微笑む。
ザクッ!!
「ふぐっ!!」
一拍の間の後、胎児が右掌の中へ完全に吸収されると、黒い影は何を思ったのか、いきなり右手を胸に突き刺して中から心臓をえぐり取り出した。
ブクブクブクブクブクッ!!
黒い影の右手の中で激しく脈打って血を噴き出していた心臓だったが、不意にその姿を躍動の音に合わせて姿を変貌させてゆく。
「フフ・・・。上出来、上出来」
しばらくすると、心臓は先ほどの胎児と瓜二つの姿となり、黒い影は出来上がった偽胎児を見つめて愉快そうにニヤリと笑う。
「じゃ、寂しいけど・・・。約束のその時までお別れだ」
ポッチャンッ・・・。
そして、いつの間にか液体となっている硬化ベークライトの中へ偽胎児を落とし、黒い影が偽胎児へ視線を走らせた途端。
プシューー・・・・・・。カチャ・・・。ピッ!!
硬化ベークライトが一瞬にして固まった後、トランクの蓋と電子ロックが閉まり、全てが元の状態へと戻った。
「さて・・・。これで全ての種は蒔き終わったから、あとは育ってゆくのを見守るだけだね」
一仕事を終えて満足そうに頷き、黒い影がエレベーター内へ戻って操作パネルのボタンを押すと、それを合図に周辺の電力が一斉に戻る。
ウィィーーーン・・・。
「収穫の時、父さんはどんな顔をするのかな?・・・ねっ!?君も楽しみでしょ?」
扉が閉まりきると同時に瞬いていた蛍光灯が灯り、その光で顔があらわになったシンジはクスクスと笑いながらエレベーターの隅へ視線を移す。
「・・・って、君に聞いても無理か」
だが、そこに転がる血ダルマの海兵員からの反応は全くなく、シンジはつまらなそうにやれやれと溜息をつきながら肩を竦める。
「しかし、父さんも懲りないと言うか、諦める事を知らないと言うか・・・。まっ、僕は退屈しないから良いけどね」
実を言うと、この海兵員の正体はゲンドウが放ったシンジの命を狙う殺し屋であり、第三使徒戦以降の通算で5人目の殺し屋でもあった。


『目標、本艦に急速接近中っ!!』
一旦は大きく弧を描いて艦隊から離れ、助走を付けて一路オーバー・ザ・レインボーを目指して迫る使徒。
『アスカっ!!左舷9時方向っ!!!』
「了解っ!!」
ミサトが弐号機の死角を突こうとする使徒の情報を伝え、アスカは素早く使徒に対して弐号機を正面へ向けた。
シャコンッ!!カチカチカチカチカチ・・・。
すぐさま左肩の武装パックを開かせ、初号機とは違うカッター形状のプログナイフを取り出し、装備した右手を前方へ突き出して垂直に構える。
シャコンッ!!カチカチカチカチカチ・・・。
更に右肩の武装パックも開かせ、もう1本を装備した左手を前方へ突き出し、右手に装備するプログナイフの上で水平に構えて十文字を作った。
ザバッ!!ザバババババババババッ!!!
「OKっ!!やってやろうじゃないっ!!!」
そうこうしている内に使徒は既に目前まで迫り、アスカは予想以上の侵攻速度に使徒が一撃必殺を狙ってきたと悟って不敵に笑う。
『デカいっ!?』
「ふんっ!!思った通りよっ!!!」
そして、使徒が波を割って初めて姿の一部を見せ、ミサトがその巨大さに驚愕して目を最大に見開き、アスカが乾いた唇を舌で舐めた次の瞬間。
ザッパァァァァァーーーーーーンッ!!
使徒はオーバー・ザ・レインボーも凌駕する巨大なその体躯を跳ね上げ、大口を開けて弐号機へ襲いかかってきた。
「フィールド全開っ!!」
ガキィィィィィーーーーーーンッ!!
しかし、アスカが叫ぶと共に、弐号機の目の前に超巨大なオレンジ色に光輝く八角形の壁が現れ、使徒の侵攻がその壁に阻まれて一時的に止まる。
「チャンスッ!!」
ブォンッ!!
アスカはその刹那を見逃さずATフィールドを素早く解くと、弐号機の左手のプログナイフを超神速のスピードで横薙いだ。
シュパ、シュパ、シュパ、シュパッ!!シュパァァァァァーーーーーーンッ!!!
その切っ先からはソニックウェーブが生まれ、真空の刃が使徒の口内奥にあったコアへ横一文字の傷を刻む。
「でっりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
アスカはそこで満足する事なく、左手のプログナイフを投げ捨て、返す刀で右手のプログナイフを両持ち、弐号機を前傾姿勢にさせて突撃開始。
ちなみに、投げ捨てられたプログナイフは、近くにいた戦艦の土手っ腹に突き刺さり、かなりの大騒ぎになっているのだが、これは全くの余談。
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!
アスカの心の刃はATフォールドとなってプログナイフより伸び、弐号機が使徒の下を突き進む度に使徒の巨体が縦一文字に切り裂かれてゆく。
(ほう・・・。さすが、アスカの悲鳴を聞かせただけの事はある。
 これなら僕も良心を痛めてまで、アスカを虐めた甲斐があったと言う物だよ。・・・ねえ、キョウコさん?)
その様子を艦外のタラップの柵に体をもたれて眺め、シンジは己へ飛び散ってくる使徒の青い体液に怯む事なく、弐号機に向かってニヤリと笑う。
ポッチャァァァァァーーーーーーンッ!!
(うわっ・・・。格好悪ぅぅ~~~・・・。)
だがその束の間、間抜けにも突撃し過ぎて甲板を飛び出した弐号機は、海面へ落ちて姿を水柱に変え、シンジはクスクスと笑いながら肩を竦めた。


「おい、あんたっ!!大丈夫かっ!!!おいっ!!!!おいっ!!!!!おいっ!!!!!!」
「んっ・・・。んんんっ・・・・・・。」
床に俯せているところを仰向けに起こされ、肩を激しく揺すられて意識を徐々に覚醒させてゆく加持。
「おっ!?意識はある様だな?何処か傷むか?何があったんだ?」
「ああ・・・。揺れた時、壁に頭をぶつけて・・・・・・。」
心配そうに覗き込んでいる軍医らしき男へぼんやりと応えながら、加持は右手を床に付けて立ち上がろうと腰を浮かす。
ドンッ!!
「・・・痛っ!?」
だが、右手が鈍くヌルリと床を滑って支えが外れ、加持は再び床へ倒れて後頭部を強かに打つ。
「無茶をしちゃいかんっ!!出血が酷いんだっ!!!動かずにジッとしていろっ!!!!」
「・・・出血?」
軍医らしき男は軽率な加持を怒鳴り叱るが、加持は軍医らしき男の言葉が解らず首を傾げ、妙に不快感を感じる右手を目の前へ持ってくる。
「・・・って、何じゃ、こりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そして、右掌にベットリと付着している血に驚愕して目を見開くと共に、加持は己が血の海のド真ん中で倒れている事を知って大絶叫をあげた。


「また、派手にやったわね・・・。」
オープンジープの後部席に座るリツコは、新横須賀へ入港した満身創痍の太平洋艦隊を眺め、溜息混じりの感想でミサトを出迎えた。
「私のせいじゃないわよ。・・・ったく、あの石頭がっ!!さっさと指揮権をこっちに渡せば、こんな事にならなかったつぅ~~のっ!!!」
ガチャッ!!!バタンッ!!!ドスッ・・・。
応えてミサトはジープのドアを苛立ち気に開けてリツコの隣へ座り、それを合図に運転手がアクセルを踏んでオープンジープを発進させる。
「なるほどね。目に浮かぶわ・・・。あなたは知らないでしょうが、第三使徒の時の戦自もそうだったから」
「でさ、聞いてよ。あの石頭、使徒を倒した後・・・。こぉぉ~~~んな風に口を開けちゃってさ。おかしいったら、ありゃしない」
ミサトは下船間際まで悶着のあった艦長を毒づいた後、愉快そうに使徒殲滅後の艦長の驚き顔の真似をして大口を開けながらリツコへ書類を渡す。
「まあ、自分の常識が目の前で崩れればね・・・。んっ!?ミサトっ!!?」
「・・・なに?」
「これ、本当なのっ!?」
その土産話に笑みを浮かべていたが、リツコは渡された書類を読むなり、記載されている弐号機の戦闘記録に驚いて眉をピクリと跳ねさせた。


「凄いっ!!凄いっ!!!凄すぎるぅぅ~~~っ!!!!」
「お前・・・。何がそんなに面白いんや?」
相変わらずケンスケは陸へ上がっても興奮冷めやらず基地内を忙しなく駈け回り、トウジは呆れ顔をケンスケへ向けて深い溜息をついていた。
ちなみに、ケンスケが本日撮影したビデオの中には当然軍事機密も含まれており、基地を退去する際にディスクを没収されたのは言うまでもない。
「あんた達っ!!」
「「んっ!?」」
いきなり背後から高圧的な呼び声がかかり、トウジとケンスケが振り向くと、未だプラグスーツ姿のままのアスカが腰に手を当てて立っていた。
「サードチルドレンは何処?」
「サードチルドレン?・・・ああ、シンジの事か」
「シンジやったら・・・。ほれ、あそこや」
ふんぞり返り問うアスカの言葉の意味が解らず、ケンスケとトウジは顔を見合わせて意見を交わした後、揃ってシンジが立っている先を指さす。
「そっ!!・・・サードチルドレンっ!!!」
「なんやっ!!あの女っ!!!いけすかんやっちゃなっ!!!!」
「黙っていれば、可愛いんだけどな・・・。」
するとアスカは礼も言わずシンジの元へ向かい、トウジはその無礼な態度に苛立ち、ケンスケは去って行くアスカのお尻へビデオカメラを向けた。


「サードチルドレンっ!!・・・サードチルドレンっ!!!・・・って、あんたっ!!!!なに、無視してんのよっ!!!!!」
数十メートル先から大声で何度も呼んだにも関わらず、シンジからの反応はなく、苛立ったアスカがシンジの肩を掴んで強引に振り向かせる。
「何の用だい?・・・セカンドチルドレン」
「っ!?」
シンジが深い溜息混じりに応えた途端、アスカはシンジの言った自分の呼び名に眉をピクリと跳ねさせて吊り上げた。
「あっ!?もしかして、怒った?
 でも、自分がそう呼ばれて嫌なら、他人もそうに決まっているだろ?・・・お互いに自己紹介はしたはず。ちゃんと名前でそう呼んで欲しいね」
憤怒に彩られたアスカの瞳を無表情に見つめると、シンジは不愉快気に振り向き戻ってアスカを視界から外す。
「くっ!?・・・なら、バカシンジっ!!!」
「何だい?バカアスカ」
アスカはあまりに正論なシンジの言葉に百歩譲って改めて呼びかけるも、シンジは振り向きもせず痛烈な反撃をアスカへ返した。
「誰が馬鹿よっ!!誰がっ!!!」
「やれやれ、君は僕の言った事を聞いていなかったの?・・・それとも、君は人を蔑まなければ会話が出来ないのかい?」
たちまちアスカは怒髪天になって再びシンジの肩を掴もうとするが、背中を見せたまま溜息をついて肩を竦ませたシンジの言葉に動きを止める。
「ぐぐぐぐぐ・・・。シ、シンジ」
「何だい?アスカ」
正論に正論を重ねられ、アスカが屈辱に一万歩譲って改めて呼びかけると、シンジは極上のニッコリ笑顔でようやく振り返った。
「・・・・・・っ!?
 ふ、ふんっ!!ど、どうだったかしらっ!!?あ、あたしの華麗な戦いぶりはっ!!!?ま、まあ、あんたには出来ない動きよねっ!!!!!」
その笑顔に一瞬だけ心を奪われて言葉を失うが、アスカは慌てて言葉を取り戻して一気に捲し立て、シンジへ弐号機の戦いぶりの感想を求める。
「んっ!?ああ、そうだね・・・。良かったんじゃない?」
「何よっ!!その気のない応えはっ!!!」
だが、シンジはアスカへの興味をなくした様に再び振り向き戻り、アスカがそのおざなりっぽい応えに憤り、今度こそシンジの肩を掴んだその時。
プッ!!プゥゥ~~~ッ!!!
「Hey♪シンジ♪♪」
クラクションが鳴り響いて、750ccのバイクがシンジの前で停まり、Tシャツにジーンズ姿の金髪ショートヘアーの美女がシンジへウインク。
「やあ、遅いじゃないか。キャシィー」
「Sorry・・・。これでも、急いで来たのヨ」
「まっ、良っか。お腹も空いちゃったしね」
シンジは肩を掴んでいるアスカの手を払い除けると、バイクのリアシートへ跨り、金髪美女の腰へ右手を回して体を密着させた。
「OK♪Let’s Goヨ♪♪」
「じゃ、アスカ。またねぇぇ~~~」
ブルンッ!!ブルルルルルルルルル・・・。
そして、シンジは空いている左手でアスカへ手を振りながら、金髪美女の運転であっと言う間に彼方へと走り去って行く。
「な、何なのよっ!!あ、あいつはぁぁ~~~っ!!!ば、馬鹿にしてぇぇぇ~~~~っ!!!!」
一拍の間の後、アスカはいきなりの展開に思わず茫然と目が点になっていたが、我に帰ると屈辱に肩をブルブルと震わせながら絶叫をあげた。
余談だが、アスカは初めて会った時のシンジの第一印象は『嫌な奴』だったと後々に語っている。
「のう、ケンスケ・・・。ここの土産屋に爆弾とか売ってへんのか?」
「・・・トウジ、知ってるか?爆弾所持は銃刀法違反より罪が重いんだぞ?」
また、一部始終を見ていたトウジも憤怒の表情で肩をブルブルと震わせており、ケンスケは厄介事ばかり作るシンジを恨んで深い溜息をついた。


「シンクロ率、84.8%っ!!15%も記録更新じゃないっ!!!」
「でも・・・。シンジ君より15%も低いじゃない」
リツコは喜び目を輝かせて弐号機の戦闘記録へ視線を走らせるが、ミサトはシンジとアスカのシンクロ率を比較して軽く受け流した。
「馬鹿ねっ!!あの子が異常なのよっ!!!これが普通・・・。いえ、これでもかなり凄い事なのよっ!!!?」
「ふぅぅ~~~ん・・・。」
「ふぅぅ~~~ん・・・って、あなたねっ!!」
そんなミサトへどれだけ凄い記録かを説明しようとするが、やはりミサトは軽く受け流し、リツコが苛立ってこめかみへ人差し指を置いたその時。
プッ!!プゥゥ~~~ッ!!!
「やあ、ミサトさん。今晩は遅くなりますから、夕飯は店屋物でお願いします」
「な゛っ!?」
後方からクラクションが鳴り響き、徐行運転するジープの隣にシンジと金髪美女の乗るバイクが横付けされた。
「じゃ、そういう事で・・・。キャシィー、もう良いよ」
「OKっ!!しっかり掴まっているヨ・・・って、キャっ!!?ど、何処、触っているヨっ!!!?シ、シンジっ!!!!?」
「あははははっ!!ごめん、ごめん」
ブルンッ!!ブルルルルルルルルル・・・。
そして、シンジはミサトへ用件を伝えるや否や、驚愕をするミサトに構わず、金髪美女の運転であっと言う間に彼方へと走り去って行く。
その上、シンジは見せつけるかの様に金髪美女の腰へ回している両手を少し上げ、ミサトにも負けない金髪美女の胸を軽くタッチするおまけ付き。
「あ、あの子・・・。ど、何処でも、やっている事は変わらないわね」
「フッフッフッフッフッ・・・・・・。」
「・・・ミ、ミサト?」
リツコが思わず顔を引きつらせていると、隣から不気味な笑い声が聞こえ、嫌な予感を覚えて顔をゆぅ~~っくりと振り向かせた次の瞬間。
「Whatっ!?」
「退けぇぇぇぇぇ~~~~~~っ!!」
突然、席を立ち上がったかと思ったら、ミサトは前に座る運転手の頭を両手で掴み、なんと恐ろしい事に運転手を車外へ放り投げた。
「Noぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~~っ!!」
ドンッ!!バタッ!!!ゴロゴロゴロゴロゴロ・・・。
徐行運転をしていたとは言えども、地面へ叩きつけられた衝撃は凄まじく、哀れな運転手は数十メートルほど地面を転がって完全に沈黙。
「あわわわわわわわわわ・・・・・・。」
さすがのリツコもこれには度肝を抜かれ、顔を振り向かせて遠ざかってゆく運転手だった者へ視線を向けたまま大口を開けて汗をダラダラと流す。
ガチャ、ガチャガチャッ!!
「な、何する気っ!?ミ、ミサトっ!!?」
だが、前方から聞こえてきたギアチャンジの音に猛烈な死の予感を感じ、リツコは顔を前方へ勢い良く戻してビックリ仰天。
「決まっているわっ!!これは私に対する挑戦よっ!!!なら、受けて立つのが礼儀っ!!!!」
ブオン、ブオンッ!!
何故ならば、運転席にはミサトがいつの間にか座っており、その瞳に凄まじい闘志をメラメラと燃やしていたからである。
大学時代からミサトと親友であるリツコは、ミサトとつき合う上で絶対に避けている物が2つほどあった。
1つはミサトの手料理を食べる事であり、もう1つはミサトが運転する車に乗る事。
エレカ主流の時代にわざわざ燃費の悪いガソリン車に乗ったり、給料の大半をチューンナップに使ったりと自他共に認めるカーマニアのミサト。
この程度なら誰にも迷惑をかけず問題はないのだが、ミサトは車に乗ってハンドルを握ると、悪性の持病を発病させる危険性を常に持っていた。
その病名は『スピード狂』と言い、普段は形を潜めて安全運転に徹しているが、もしも後続車にでも抜かれようものなら即座に発病。
しかも、1度発病すると目的地へ着くか、ガソリンが切れるか、警察にでも捕まるかでもしない限り、決して沈静化はしない恐ろしい病気。
「お、落ち着きなさいっ!!お、落ち着くのよっ!!!か、彼がああなのはいつもの事じゃないっ!!!!」
「金髪女が何よっ!!私の方が良いに決まっているじゃないっ!!!そうですよねっ!!!!シンジ様ぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~っ!!!!!」
リツコは少しでもミサトの闘志を沈めようと説得するが、ミサトは耳を貸そうともせず、エンジンを空噴かせて一気にアクセルをベタ踏む。
ブオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
「い、嫌ぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!だ、誰か、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
すると軍用のジープはその性能を限界以上に発揮して素晴らしい超加速力を見せ、リツコの悲鳴がドップラー効果となって周囲へ放たれる。
「はっはっはっはっはっ!!無駄、無駄、無駄、無駄、無駄っ!!!何人たりとも、私の前は走らせないわよぉぉぉぉぉ~~~~~~っ!!!!」
「し、死んじゃうっ!!し、死んじゃう、死んじゃう、死んじゃうっ!!!し、死んじゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~~っ!!!!」
その後、土地勘のないミサトはシンジ達にあっさりと撒かれるが諦めず、リツコの壮絶な苦行はジープのガソリンが全て無くなりきるまで続いた。


「いやはや、波乱に満ちた船旅でしたよ。やはりコレのせいですか・・・。」
ピッ!!カチャ・・・。プシューー・・・・・・。
緊張感と重苦しい雰囲気がいつにも増して漂う司令公務室、司令席を挟んで対峙する加持とゲンドウ。
「既にここまで復元されています。
 硬化ベークライトで固めてありますが・・・。生きています。間違いなく・・・・・・。人類補完計画の要ですね」
金属製のトランクを開けると、加持は直前の軽い口調を一変させ、トランクの中にある胎児の標本を見つめて恐怖と緊張感の伴う声で尋ねた。
「そうだ・・・。最初の人間『アダム』だよ」
応えてゲンドウが胎児の標本を見つめながらサングラスを押し上げてニヤリと笑い、司令公務室の緊張感と重苦しさがより一層に増す。
余談だが、ご承知の通り、この『アダム』とやらは真っ赤な偽物であり、シンジによって人類補完計画なる計画は既に要から瓦解している。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
それっきり、ゲンドウと加持は口を噤み、司令公務室にただただ沈黙だけが流れてゆく。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
放っておけば、いつまでも続くかと思われた沈黙だったが、不意に電話と言う意外な伏兵が割って入って沈黙が止む。
プルルルル・・・。プルルルル・・・。プルルルル・・・。カチャ・・・。
ゲンドウは受話器へ手を伸ばしつつ、目線だけを加持へ向けて退出を命じ、加持は無言ながらに頷き、振り返って部屋を出て行く。
「私だ・・・。そうか、それでサードはどうなった?・・・な、なにっ!?そ、それは本当なのかっ!!?」
(んっ!?シンジ君に何かあったのか・・・って、そうだっ!!!シンジ君だっ!!!!)
初めて聞くゲンドウの驚愕声に歩を止めそうになったのをきっかけに、加持は心が押さえ込んで忘れていたシンジとミサトの関係を思い出す。
(またもや失敗だとっ!?何故だ、何故だっ!!?何故なんだっ!!?シンジめぇぇ~~~っ!!!!!何があったと言うんだっ!!!!!?)
(相手は子供だぞっ!?何故だ、何故だっ!!?どうしてなんだっ!!!葛城ぃぃ~~~っ!!!!!何があったって言うんだっ!!!!!?)
奥歯をギリギリと噛みしめるゲンドウ、涙をルルルーと流す加持、その2人の心中は有る意味で驚くほど非常に良く似ていた。


「えぇぇ~~~・・・。皆さん、元気にしていましたか?」
楽しかった夏休みも終わり、長く果てしない道のりの向こうにある冬休みを目指す二学期第1日目。
「では、ホームルームの前に転校生を皆さんへ紹介しましょう。どうぞ・・・。」
夏休みボケで誰もが『憂鬱』の2文字を背負う中、老教師より転校生と言うビックイベントが伝えられ、教室に『期待』の2文字が溢れる。
ガラッ・・・。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおっ!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
老教師の合図に教壇側扉が開き、転校生の少女が教室へ入るや否や、男子生徒達が一斉にその輝かんばかりの容姿とスタイルに歓声をあげまくり。
「「ああっ!?」」
ガタッ!!ガタッ!!!
一拍の間の後、それらの歓声を遥かに凌駕した音量の驚き声が教室に響き、トウジとケンスケが転校生を指さしながら椅子を蹴って立ち上がった。
何故ならば、その転校生はトウジとケンスケが最早2度と会う事もあるまいと思っていたアスカだったからである。
「へぇぇ~~~・・・。あんた達、同じクラスだったの・・・って、ま、まさかっ!?」
何事かと教室が静まり返り、アスカはトウジとケンスケを軽く無視して教壇へと向かおうとするが、壮絶に嫌な予感を覚えて立ち止まった。
「げっ!?あ、あんたも居るのっ!!?・・・い、嫌ぁぁ~~~っ!!!!こ、こんな変態と一緒のクラスは嫌ぁぁぁ~~~~っ!!!!!」
慌ててアスカは教室をキョロキョロと見渡し、笑顔で手を振っているシンジと目が合うなり、シンジを指さして絶叫をあげる。
ガタッ!!
「ちょっと、あなたっ!!いきなり、碇君に失礼じゃないっ!!!」
するとシンジの様子を心配そうに見ていたヒカリが、即座に反応して椅子を蹴って立ち上がり、凄まじい怒気を放ってアスカを怒鳴りつけた。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「そうよっ!!そうよっ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「・・・な、何よ」
それに続けと言わんばかりに女子生徒全員が一斉に席を蹴って立ち上がり、さすがのアスカもこれには怯んで思わず一歩後退。
(イ、イインチョぉぉ~~~・・・。シ、シンジぃぃぃ~~~~っ!!お、おんどりゃぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!)
(・・・うわっ!?やばっ・・・。こりゃ、絶対に今日も家へ泊まりに来るよ・・・・・・。)
トウジはヒカリの嫉妬ぶりに殺意を燃やしてシンジを睨み付け、ケンスケはその様子に今日も起こるであろう色々な災難を想像して溜息をついた。
(ん~~~・・・。これは一波乱ありそうだね。
 まあ、アスカの事だから余計な事は言わないだろうけど・・・。また適当な噂が広がりそうだし、取りあえずフォローを入れようかな?)
シンジは頬杖をついてアスカを見つめながら愉快そうにクスクスと笑い、先ほどのアスカの発言の余波について策謀を巡らす。
(へんたい・・・。変体・・・。変態・・・。編隊・・・。
 変体・・・。普通の形、体裁とは違ったもの。・・・良く解らない。
 変態・・・。形を変える事、異常な状態。・・・保留。
 編隊・・・。飛行機などが隊形を組み変える事。・・・違う。
 なら、変態・・・。何故、碇君は変態なの?形を変える事、異常な状態、形を変える事、異常な状態、形を変える事、異常な状態・・・。
 形を変える事・・・・・・。っ!?確かに碇君はヤシマ作戦の時に姿を変えたわ。そう、碇君は変態なのね・・・。碇君は変態・・・・・・。)
その頃、唯一女子達と一体感を感じられなかったレイは、国語辞典で何やら調べ物をしつつお得意の連想ゲームで女子達との一体感を図っていた。





第壱部  

時の行者編





- 次回予告 -
フフ・・・。独り寝がこんなに寂しいとは忘れていたよ。   

だけど、ここは本当に何もないね。コンビニも遠いし・・・。 

夜は静かで良いけど、やっぱり引っ越した方が良いんじゃない?

何なら、僕付きでマンションを買ってあげるよ?       

・・・って言うか、僕も追い出されちゃったしね。      

まっ・・・。取りあえず、僕と情熱のダンスを踊ろっか?   


Next Lesson

「瞬 間、心、重ねて」

さぁ~~て、今度こそアスカで大サービスっ!!

注意:この予告と実際のお話と内容が違う場合があります。


後書き

そうっ!!これですっ!!!これなんですっ!!!!
私が目指している理想的な1話辺りのサイズって・・・。
Aパート、Bパートを合わせて90K前後。
だって、これなら割合と書くのも、読み返しのチェックも楽だから(笑)
それはともかく、今回は第1部終了と言う事もあって今まで暗躍していた『黒い影』の正体をバラしましたが・・・。
最初に登場した時点でとっくにバレバレでしたよね?(爆)
あとAパートにある海兵隊の英文ですが・・・。

「おおっ!!ハラキリっ!!!ブシっ!!!」
「違うっ!!あれは日本の忍者だっ!!!」
「凄いっ!!なら、彼は忍術を使っているのかっ!!?」
「そうっ!!水遁の術だっ!!!」

・・・と言う意味なんですが、英文はかなり適当です(^^;)
ちなみに、どうして忍者かと言うとトウジが黒いジャージを着ていて忍び装束みたいだから(笑)

感想はこちらAnneまで、、、。

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